♪~♪♪~


途端に鳴った携帯には

   【秀】

という文字が記されていて


『…もしもし?』
《もっしも~し!美鈴?》
『あたしの携帯なんだから、当たり前じゃんっ』


電話越しから聞こえる明るい秀の声に、癒されている自分がいたのは事実だった。


『何か用?』
《用がないとかけちゃダメ?》
『うん』
《え…》
『嘘だって!いちいち真に受けないでよ』
《なんだよ~!美鈴ちん、ひどい》
『もうっ…秀ってばっ』


秀の声に、あたしは瞼から大粒の涙を流しながら笑った。



 ―秀…ほんとイイヤツだからさ―



春樹のその言葉が
あたしの心を突き刺す。



苦しい恋なんて
もうしたくないよ