「あ、俺、お前に言うことあんだわ」


秀は春樹にそう言った。
そして言葉を続ける。


「俺、ちゃんと美鈴と別れたからさ。
 だからあとは……好きにしたら?」


なおも笑顔で言い続ける秀。

そんな痛々しい笑顔で言う秀に、春樹は何も答えられないみたいで…。


「み~すずっ?」

『……』

「お前、いつまでそんなとこに突っ立ってんだよ?
 こっち来なって」


秀はドア付近に立ったままのあたしにまで気を使って呼び寄せた。


それでもあたしの足は動かなくて…。


「そんな暗い顔すんなっつーの」


秀の笑顔が痛くてしょうがなかった。



『あ…たしっ………ごめんっ…』



あたしはついに堪え切れなくなって、病室から出てしまった。