『おはよ』
「…おす」


教室にはすでに春樹の姿があって、きっとあれから寝ていないんだなってのが分かった。


『クマ出来てるよ?』
「お前こそ」


そう言って、くすりと笑う。


だけど心が笑えない。

こんなにも心臓がバクバクいってる。
 

「んな顔すんなっつーの」
『うん…』

「俺はお前を手に入れたこと、後悔なんかしてねぇから」


春樹は他のクラスメートには聞こえないように、耳元でそう言う。


その途端、さっきとは違ったドキドキが心臓を襲って、あたしは自分でも顔が赤くなっていくのが分かった。