『春樹…』

「……」


あたしは春樹を見つめ、もう一度名前を呼んだ。

そんなあたしを、春樹は震える手であたしを抱きしめる。



不思議だった。

春樹の周りにはいつも女のコがいるから、こんなこと慣れていると思ったのに…。


あたしを包むその腕は
決して女遊びをしているような人の温もりではなかった。



『春樹…』

「……」



雲ひとつない青空の下

あたしと春樹は


愛のないキスをした。