好きな…女…?


そう言った春樹の声が
やけにあたしの心に深く突き刺さる。


春樹に好きな人がいるなんて
そんなの考えたことなかった。



『へ…へぇー…。
 どんな人なの?』



あたしはもう乾いた笑いしか出てこなかった。

だけどなんとか平常心を保って、春樹に問い掛ける。

「兄貴の彼女。
 2個上なんだけどさ、幼なじみみたいなもので、俺たちはずっと一緒だった。
 俺はソイツが…皐月が好きだったんだけど…皐月は兄貴のことしか見えてなかったんだよな…」


『……』


そう淡々と話す春樹は
今までに見たことがないほど、切なげな表情…。


こんな春樹知らないよ…。