甘すぎて溶けちゃいそう。【短編・完】




「あーみちゃんっ!放課後、ひま?」

「……暇じゃない。」

「えっ!なんで?」

「………。」








ごめんなさい、ホントは暇です。





「愛実(アミ)ちゃん?なんで?俺より優先することがあるの?」

「………や、」



だって。

だって…。

だって洋(ヨウ)が……。





「……愛実ちゃん?」


あうっ…

そんなうるうるした目で見ないで…





――――…


目の前には、嬉しそうな洋の顔。


あたしを覗き込みながらニコニコしてる。




「おいしいね?愛実ちゃん。」

「………ん。」



天使みたいなその笑顔を無条件で拝めるあたしは幸せ者だ。






「愛実ちゃんのそれ、なに味?」

「ん?なんかパチパチなるやつ…」

「あーん。」

「………。」




おっきく口を開ける洋。


…あーん?

食べる、の……?





洋の目は早く早く、と言わんばかりにあたしを見つめる。


「………ん、」



おずおずとその口にあたしのアイスを近付ければ、ぺろっと舐めてしまった。




「……っ!」


ぶわっ、とあたしの頬に熱が広がる。


なんでこの人は…こんなに……






「あ〜愛実ちゃん、赤くなっちゃって!」




誰のせいだ、誰の!



「ふふ、」


そんなふうに笑う洋は、天使の顔した小悪魔だ。






このアイス、もう食べれない……


だって、食べちゃったら…

あの、えっと…か、間接……




「間接キスだね、愛実ちゃん?」


ボッ!



な、な、な!