あたしが話しをしている間も那智はあたしを抱きしめたままだった

全てを話し終えると なんでかわからないけど全身がすごく震えてきてしまっただけどギュッっと那智が絶妙のタイミングであたしを抱きしめた


何でこんなに落ち着くんだろう 佳祐に抱きしめられた時は何も感じなかった
だけど那智が 那智の大きな手は あたしをこんなにも落ち着かせてくれる


しばらく那智はあたしを少しきつく抱きしめたまま 何も言わなかった


そ…それにしても 那智…あたし心臓壊れそうです…

落ち着きを取り戻すと あたしはユデダコ状態…


『雛…俺さ バカなんだ本当は!』


『……何か今までは頭良かったって言い方だね?』


『夏休みにさ〜 すっげぇ大事なもんなくしちゃってヘコンダ』


『そうなんだ…』


『それに気づいたのは多分つい最近』


『那智の無くしたものって何?』


『多分それボロボロに傷ついて 擦り切れてる…』


『そっか…代わりとかはないの?』


『無理』


グイっ

急に那智があたしの頬を両手で包み込んで 顔を上げさせた