『那智の事だけど…』

ドキンっ ドキンっ

那智と言う言葉を聞いただけで心臓が急にうるさくなった ギュッと両手で胸を抑える


『好きなら俺は雛を見守る』


『え?』


『だけどあんまり悲しい顔ばっかしてたら そんときは諦めない。』


今あたしすごいマヌケ顔してるな…
那智の事なんて言うから不謹慎ながら佳祐の言葉になんだか気が抜けてしまった

そんなあたしを知ってか知らずか 佳祐はあたしの頭をポンポンと叩きながら 少しいつもと低い声で でもその口調は優しく聞こえた

『あいつは馬鹿だからな〜』


『え?』


『じゃー俺は帰るわ!これからバイトだし! じゃな〜』


佳祐はドアに手を掛けて開けると振り返らず 片手だけヒラヒラさせると行ってしまった


てかてか…那智のこと…は?


結局あたしも家に帰り整理も出来ないのに 今日の出来事をずっと思い出していた