アランが兵士たちとともに馬を進めてていると

道の先に僅かに動く白いものが見えた。


・・・何だあれは?


アランはピクピクと動くそれから目を離さずに


そしてそれが大きな馬に驚いて逃げてしまわないように


ゆっくりと近づいて行った。



アランが傍まで来ると小道の隅にいるそれは、白いふわふわとした毛並みを揺らしながら真ん中ほどに来ると、小さな体で道を塞ぐような仕草をした。



白く長い耳と、薄いピンクの鼻をひくひくさせながら馬上のアランを見上げる。


そして何かを訴えるようなつぶらな赤い瞳は

自分を見ているアランの深いブルーの瞳と視線があったのを確認するように瞬きをすると、

うっそうと茂った木々がざわめく方へと身体を向けた。


そして、数歩歩きピタッと止まり振り返るともう一度アランを見上げている。



まるで、アランについて来てほしいと言っているかのようだ。



――何だ?・・・この向こうに何かあるのか―――?

普段見られない小さな動物の行動に興味を覚え、アランは馬を降りた。




「ジェフ一緒に来い。他の者は指示があるまでここで待て」




ジェフと呼ばれた男は突然のアランの不可解な行動に

わけがわからずに一瞬ポカンとしたものの

急いで馬を降り、アランの後に続いて森に入っていった。