書斎の窓から落ちたはずのエミリーの身体は大きな怪我もなく

腕と足に小さなかすり傷を負っているだけだった。



固い地面に打ちつけられると覚悟したあの時

一体何が起こったのだろう・・・

急に目の前が暗くなり、何も見えなくなった

落ちていく自分の身体でさえも



全てが暗闇の中に吸い込まれるような不気味な感覚。

終わりのない落下感に地の底まで落ちていくのではないかと思った。

エミリーはぶるっと恐怖に震える身体を包むように腕をまわした。




「ここはどこなのかしら・・・・」

エミリーは自分の周りを改めて見た。

見渡す限り、大きな木と花しか見えない

相当深い森の中にいることが容易に想像できる



―――足の骨は折れていないみたい。なんとか歩けそうだわ。

とにかく、このままここにいてもしょうがないし・・・・


この森を出てみないと・・・。どっちに行けばいいのかしら―――


あいかわらずズキズキと痛む頭に顔をしかめながらゆっくりと立ちあがった。


―――――っ・・・!


途端に、クラクラとした眩暈に襲われ倒れそうになる



力が入らない足でなんとか踏ん張ってみるものの、ふらふらとする身体は、まったく言うことをきかない



エミリーはズキズキと痛む頭と、クラクラする眩暈に耐えきれず

再び意識を失った・・・・