「えっと、これを棚に入れればいいのね・・・」
エミリーは言われた通り、本と資料を丁寧に棚に並べていく。
分厚い本や古い資料は、長い年月を過ごしたためか、ひどく埃っぽい。
手に取るとカビ臭さが漂ってくるものもある。
机の上に積み上げられた本を手に取ると、小さなほこりが一気に舞い上がった。
「コホッ・・・コホッ」
埃を吸い込んだためか咳き込むエミリー。
部屋に充満する埃は、エミリーの呼吸を妨げていた。
――苦しくてたまらないわ・・・・
苦しさに顔を歪めながら、新鮮な空気を求めて窓に向かった。
床に散らばる本を避けながらゆっくりと窓に手を伸ばした。
その間も咳は止まらずにエミリーの胸を激しく襲う。
窓の桟に手をかけ、少しでも良い空気を吸おうと、窓から身を乗り出した。
―――瞬間
―――――――っ!?
黒い何者かが目の前をかすめていく。
それは誘導するようにエミリーの手にサッとふれていった。
――ッ―――――!
誰かが何かを叫んでいるような声が微かにエミリーの耳に届いた。