――こんなに緊張する朝食は初めて・・・・。


王子様と一緒の食事。

粗相のないようにと思うと、余計に緊張してしまう。


でも、きっと今日だけ。明日は違う場所で食べることになると思うけど。

この国に来たばかりのわたしを気にかけて、今日だけ朝食に誘われただけよね・・・。


美味しいスープの味も、焼きたての香ばしいパンの香りもよく分からない。

早くこの時間が終わればいいのに・・・・。



そう考えながら一生懸命パンを口に運ぶ。

ちらっとアランを見ると、食事はもう終わったのか、じっとこっちを見ている。


――そんなに見ないで・・・・恥ずかしい。

ブルーの瞳と目が合ってしまい、慌てて下を向いた。


・・・もう早く解放されたい。


そんなエミリーの気持ちを知ってか知らずか、アランがブルーの瞳をきらりと光らせて言った。


「朝食は8時からだ。君は今日、30分も遅刻した。

 初日だから大目に見るが、明日からは遅刻しないように。

 私はこれでも忙しい身だ。そんなに待っていられない日もある。

 ・・・わかるね?」

「はい?・・・・・ぇ・・と明日も・・・?」


「それから、君には我が国の令嬢と同等の教育を受けてもらう。

 しっかり学ぶと良い。・・・ウォルター、これを・・・。

 後は頼む」



アランはウォルターに何か書類のようなものを渡し、


アメジストの瞳を見開いてポカンとしているエミリーを残し

足早に食堂から出ていった。