ウォルターに案内され、食堂に来たエミリー。


自分が選んだシンプルなベージュのワンピースではなく

淡いブルー地に小さな花模様のひざ丈ドレスを着ている。


「アラン様と食事をするのに、その服ではダメです」

とメイに叱られ、このドレスに着替えさせられた。


髪も綺麗に整えてくれた。

耳にかかっていた髪が後頭部に向かって編み込みされ、ドレスに合わせたアクセサリーで留められている。



食堂には大きめの暖炉があり、真ん中に長いテーブルが一つと椅子が6脚ある。

一番奥の椅子にはアランが座っていて、傍には給仕係りが2人控えていた。



「おはよう。よく眠れたか?」

口元は笑っているが、ブルーの瞳は少しも笑っていない。

なんだか少し不機嫌に見えるのは気のせいだろうか。


「おはようございます。アラン様。

おかげさまでよく眠れました。ありがとうございます」


膝を折って挨拶すると、どこに座ろうかと視線を彷徨わせた。

すると、控えていた給仕係りがさっと動き、

”あなたの席はここです”とばかりに椅子を引いた。

その場所を見て、思わずぶんぶんと首を横に振って抵抗する。


引いた椅子を持ったままエミリーを見ている給仕の無言の圧力・・・。

加えて「エミリー様の席はこちらです」と

ウォルターに促され、諦めたエミリーは仕方なくその席についた。


その席は、ブルーの瞳の真正面・・・・。


前を向くと、目が合ってしまいそうで恥ずかしくて顔があげられない・・・。

「いただきます・・・・」

エミリーは俯いたまま食事を始めた。