コンコン・・・

扉が遠慮がちに叩かれる。

「エミリー様起きてらっしゃいますか?」

様子を窺うようなメイの声が廊下から聞こえる。

「ええ。起きているわ」

答えると、扉がパッと開いてメイとウォルターが入ってきた。


起きていたエミリーを見てメイはにこにこしている。

ウォルターはといえば、相変わらず眉を寄せた怖い顔でこっちを見ている。


「おはようございます。よく眠れましたか?」

そう言いながら畳んでおいたナイトドレスを拾うメイ。


ウォルターはつかつかと傍まで来ると、頭を軽く下げ挨拶をした。


「アラン様が朝食を一緒にと申しております。

食堂にご案内いたしますので、身支度を整えられたら声をおかけください。

私は部屋の外にいますので」


手短に言うとウォルターはさっさと部屋を出ていった。



――アラン様と一緒に食事?どうしよう・・・



エミリーはメイに向かって聞いた。

「朝食だし、この服装で大丈夫よね?」



メイは腕組みをしてエミリーの恰好を見ると、無言でクローゼットの扉に手を伸ばした。