リーン・・リン・・・リーン・・リン

―――ん・・鈴の音?・・・あたたかい・・・

シャルルなの?わたしのベッドに来るなんて・・久しぶりね

エミリーはサラサラと手触りのいい毛並みを手探りでそっと撫でた。柔らかくてすべすべとしていて、とても心地いい。

微睡みの中で頬に触れる心地よいあたたかさにそっと顔を埋めた。

―――シャルル大好き。暫く姿を見せなかったけど、いつもどこで寝ていたの?いつも、夜はわたしのベッドにもぐりこんで来て一緒に眠ってくれたのに。

ここ最近ずっとお留守にしてて、寂しかったじゃない。これからは、ずっとわたしと一緒に眠ってくれるの・・・?


ちょうどいい固さの枕。心地よく耳に届く規則的な音。

あたたかなそれは目覚めかけた五感を再び眠りへと誘っていく。


覚醒と眠りの狭間で、誰かが何かを囁く声が聞こえた。

―――誰・・・?今、何て言ったの・・・。

身体をふんわりと包んでいたものが少し動いて、心地よい眠りを提供していたぬくもりが、ゆっくりと離れていく。


―――イヤ。待って・・・もう少し、もう少し傍にいて―――

急に寂しくなって、遠ざかっていくぬくもりを追いかけていくと、手がサラッとした毛に触れた。

フリフリと揺れているそれをキュッと捕まえると、ピクッと体が少し揺れて、動きがピタリと止まった。

予想される愛らしい攻撃をかわすように、慌ててしっぽと思われるそれから手を離した。驚かせてごめんね・・・。


「お願い。もう少し・・・傍にいて・・・」


まだ覚めきらない目を薄く開けてシャルルの姿を探し求めた。

「シャルル・・・どこ―――?」


窓の分厚いカーテンと、天蓋から下がるシフォンでベッドの中は、朝なのにとても暗い。

窓の向こうから漏れる薄明かりの中目を瞬かすと、銀の毛が一房、青いクッションのようなものから垂れているのがぼんやりと見えた。


―――シャルル、そこにいたの?相変わらず奇麗なしっぽ。

わたしの大好きなシャルルのしっぽ。ふわふわで愛らしくて、触るととても心地よくて。

もう少し、お寝坊さんに付き合って?

クッションの端を掴んでそっと傍に引き寄せた。


「シャルル、あたたかい―――大好きよ・・・」


エミリーは幸せそうにそっと頬を寄せた。

このままずっとこうしていたい。

やっぱりシャルルがいると、あたたかくて、とても落ち着く・・・。

最近よく眠れなかったの・・・ここにいて。


せめて眠るまで―――