「ん・・・・ここは・・・」
・・・どこ―――!?
エミリーはまだ醒めきらない瞳を瞬かせた。
瞳に映るのは、またしても見覚えのない天蓋。
うそ・・・眠っている間に、わたしはまた知らないところに来てしまったの?
これ、シルヴァの屋敷のベッドに似てはいるけど、周りに掛けられている布と天蓋の模様が違ってる。
シフォンのような布は一緒だけど模様が違うし色も違う。
エミリーはカーテンのように垂れ下がる布をじっくり見た。
薄いピンク色の布は花のような柄で白は無地、それが重なるようにベッドの周りを囲むように覆っていた。
サイドテーブルの灯りに仄かに浮かび上がるのは、天蓋の綺麗な絵。
シャクジの花束の周りに、二つの丸が段々欠けていって、また丸に戻っていく様子が描かれている・・・。
それは途中で重なったりしていて・・・これは二つの月の周期かしら―――?
少し気だるい身体をゆっくり起こしながら透けるカーテンの向こうを窺い見た。
壁の燭台にひとつだけ点る灯りに浮かぶのは白い調度品の数々。
灯りの中でキラッと光る金具は金に見えるけど、あの取っ手は全部金なのかしら?
「エミリー様・・・お目ざめですか?」
カーテンの向こうから様子を窺うように声が掛けられた。
「失礼致します」と遠慮がちにカーテンを揺らして覗いたのは、少しふくよかな若いメイド。
「あなたは?」
「メイドのナミと申します。よろしくお願い致します。あ、”もうすぐお目覚めになるから”と呼びに行かれてて・・・もうすぐ戻ると思います」
「え・・・?」
・・・戻るって、誰が誰を呼びに行ったの?
尋ねようと思ったけど、ナミは言いたいことだけ言うと再びカーテンを揺らし、視界から消えてしまった。
―――ここはどこ・・・?
今日一日の記憶がめまぐるしく頭の中で蘇る。
・・えっと、シルヴァの屋敷でアラン様が迎えの手を伸ばして跪いていて、わたしのことを”主”だと・・・。
エミリーは思わす両手で頬を包み込んだ。
昼間の出来事がまったく信じられない。
一国の王子様が、こんなただの娘に皆の前で跪くなんて、あり得ない。
やっぱりあれは夢なのよね。
だって、この部屋はわたしの部屋じゃないもの・・・。
この広くて立派な部屋。アラン様の寝室くらいあるのかしら。
照明を落とした薄暗い部屋は隅の方がまったく見えない。どんなに見廻してもナミの姿も見えない。
ベッドも今まで使ってたものと寝心地が全く違うし、どちらかと言えば、アラン様の寝室のベッドのような・・・。
もしかして、今も夢の中なの?
でも、この毛布は―――
・・・どこ―――!?
エミリーはまだ醒めきらない瞳を瞬かせた。
瞳に映るのは、またしても見覚えのない天蓋。
うそ・・・眠っている間に、わたしはまた知らないところに来てしまったの?
これ、シルヴァの屋敷のベッドに似てはいるけど、周りに掛けられている布と天蓋の模様が違ってる。
シフォンのような布は一緒だけど模様が違うし色も違う。
エミリーはカーテンのように垂れ下がる布をじっくり見た。
薄いピンク色の布は花のような柄で白は無地、それが重なるようにベッドの周りを囲むように覆っていた。
サイドテーブルの灯りに仄かに浮かび上がるのは、天蓋の綺麗な絵。
シャクジの花束の周りに、二つの丸が段々欠けていって、また丸に戻っていく様子が描かれている・・・。
それは途中で重なったりしていて・・・これは二つの月の周期かしら―――?
少し気だるい身体をゆっくり起こしながら透けるカーテンの向こうを窺い見た。
壁の燭台にひとつだけ点る灯りに浮かぶのは白い調度品の数々。
灯りの中でキラッと光る金具は金に見えるけど、あの取っ手は全部金なのかしら?
「エミリー様・・・お目ざめですか?」
カーテンの向こうから様子を窺うように声が掛けられた。
「失礼致します」と遠慮がちにカーテンを揺らして覗いたのは、少しふくよかな若いメイド。
「あなたは?」
「メイドのナミと申します。よろしくお願い致します。あ、”もうすぐお目覚めになるから”と呼びに行かれてて・・・もうすぐ戻ると思います」
「え・・・?」
・・・戻るって、誰が誰を呼びに行ったの?
尋ねようと思ったけど、ナミは言いたいことだけ言うと再びカーテンを揺らし、視界から消えてしまった。
―――ここはどこ・・・?
今日一日の記憶がめまぐるしく頭の中で蘇る。
・・えっと、シルヴァの屋敷でアラン様が迎えの手を伸ばして跪いていて、わたしのことを”主”だと・・・。
エミリーは思わす両手で頬を包み込んだ。
昼間の出来事がまったく信じられない。
一国の王子様が、こんなただの娘に皆の前で跪くなんて、あり得ない。
やっぱりあれは夢なのよね。
だって、この部屋はわたしの部屋じゃないもの・・・。
この広くて立派な部屋。アラン様の寝室くらいあるのかしら。
照明を落とした薄暗い部屋は隅の方がまったく見えない。どんなに見廻してもナミの姿も見えない。
ベッドも今まで使ってたものと寝心地が全く違うし、どちらかと言えば、アラン様の寝室のベッドのような・・・。
もしかして、今も夢の中なの?
でも、この毛布は―――