「まぁ、お辛かったことでございましょう。

 そうして、母上さまは、父上さまとの初恋を

 成就されたのでございますのね」


「ええ、私は、物心ついてから、

 ずっと雲上人であられた父上さまに

 憧れてお慕い申し上げて参りました。


 祐雫さんは、どなたさまに

 恋をされたのでございますの」


 祐里は、避暑地の限られた時間に

 祐雫が出合った想い人のことが気になった。