『椎名係長...』

椎名係長がフロアにやってきて、フロアは一気にメロメロになった。

『おお、水嶋!!
水嶋は本当に凄いな!!新入社員なのにあんなにいろんな企業の事が頭に入ってるんだな!!あのメモ書き直してくれたのも水嶋だろう?おかげで会議でものすごい役に立ったよ。って...どうかしたのか?』

椎名係長はよほど私の知識量に感動したようで資料を私に渡しながらマシンガントークで話した。

『役に立ったなら良かったです…。
係長、私、来年いないかもしれません…』

『はあ!?どういうことだ⁉
ちょっとこっち来い。』

私は椎名係長に引きずられて空いてる会議室に押し込まれた。

『で、どういうことだ?』

私は、N社のはなしを全部した。

『...それは、不幸だな。
でも、水嶋はそれで諦めるのか?』

『だって、もう無理じゃないですか...』

『...水嶋はさ、凄いしっかり者だし、頭も良い。でも、頭で考えすぎ。
もしかしたらできるかもしれないじゃないか。人間、やる気で頑張るんだよ。』

弱音はやるだけやってから言え、と、私の頭を軽く叩いて出て行った。

うん、そうだ。

人を頼っちゃいけないことはわかってた。

まず、自分でやらなきゃいけない。

係長に喝を入れられた気がして、私は明日の対策を練った。