ななが言うと、
「ね?弥生!」
松谷は、恥ずかしそうにうなずいた。
「――あ!朝礼始まる!」
ななが言うと、
俺達――私達は、体育館に走った。
幸い、まだ半分も集まっていなかった。
おそらく今日から俺と同じクラスの子は、ちらちらと俺を見た。
「――橘光梨さまよ!」
タチバナヒカリ?
様?
ななの視線の先には一般的に見ると超キレイな人。
俺からすると別にどうとも思わないんだけど。
「…誰?」
「みなみんは知らないか!あの人は橘光梨って言って、生徒会長。みんなの憧れなの。――ちなみに、生徒会長は投票で決めるの」
人気投票ってトコか。
確かに、あれは投票されるかもな。
「すごいね」
俺はいかにもすごいという風に言った。
すると橘光梨がこっちに来た。
「あなたが転校生ね?」
「はい」
みんなは俺の方――いや、橘光梨の方を一斉に見た。
「同学年なんだからタメでいいのに」
橘は溢れんばかりの笑顔を見せた。
「うん」