「友達、嬉しい!」
とくるみが言った。
そう、だよ、な。
俺、考えすぎだよ。
バカみてぇ。
俺のこと、好きになる女なんていないよな。
まあ、俺が女を嫌いな訳だから当たり前だし。
………でも、なんでガッカリしてんだ?
別に、落ち込むことなんて一つもないのに。
「……友達、な。」
一言ポツリ、呟くと、風呂場から出て、超早着替えして部屋に戻った。
『友達、嬉しい!』と言っていたくるみの顔は見ていない。
勘違いした自分が恥ずかしくて、惨めで、ななと弥生が何か言ってたようだけど、すぐ布団にかぶって寝た。
………いや、正確には寝ていない。
ただ、横になっているだけ。
ふと顔の向きを変えると、枕元に置いていたケータイがチカチカ光っていた。
…?
送信元は知らないアドレス。
受信ボックスを開くと、
【none title: 寮母サンからみなみんのメアド聞きました 大丈夫?ぐあい悪いの? なな*】
なな…か。
すかさず送信時間を見ると、ついさっきだ。
一言も交わさなかった俺を心配してくれた…のか?
まあとにかく、嬉しいな。
布団から顔を出すと、暗闇の中でもわかるななの金髪が揺れ、俺に手を振った。
俺も手を振ると、クスリと笑う声が聞こえた。