「ひ、卑怯だぞ…」
『知ってるよ?いいじゃん、卑怯で。さ、俺に反抗しようとした罰。いくよ』
ギロリと睨みつける俺をものともせず、それどころか何か怪しげな発言をして俺の手を引いた。
「ちょっ…!」
力強…!
まるで鍛えることなどをしないければ体も細身の俺が、筋肉質で体を鍛えるのが好きで体も大きいこいつの力に勝てるわけもなく、されるがままズルズルと連れていかれる。
そして俺等が去った掲示板前は、異様な空気に包まれていたと言う…。
「…おい!どこ行くんだよ!」
『分かってるくせに、お、く、じょ、う、でしょ』
やっぱりか…。
予想が当たってしまうのもなんだかムカツく。
俺にとってそれが当たり前になっている証拠なのだから。
「でも授業…!」
俺が授業を気にするのも、
『一限目の理科総合は自習』
こいつがそれをかわすのも、
「くそ…!」
俺が悔しがるのも、
『諦めなさいっ』
こいつが俺の悔しがる表情をみてニンマリ笑うのも、
ここ最近は日常になってしまっている。
…非常に不本意である。
俺がこんな自分とは真逆で苦手な奴に嫌々ながらも大人しく従っているのにはワケがある。