だって、眼鏡にダメージを知らない真っ黒さらさらの髪の毛の、いかにも真面目そうな俺の順位は…、
「来栖弥一来栖弥一…、く、る…す…」
『お前、わざとやっているだろう」
俺の名前である来栖弥一(くるすやいち)は、上位三十名が張り出されるこの掲示板に名前はない。
いや、あるにはあるが…。
『あっ、はっけーんっ!』
俺の名前があるのは、下位十五名の中の十五位。
そう、俺は風貌にそぐわず、頭が悪い。
…自分でいうのは気が引けるが。
しかしこれでも、
「あ、あ、上がってる…!」
下位五位から下位十五位に上がっている!十位も!
「高須…!」
『もう目キラキラさせちゃってー、可愛いんだからっ』
ちゅっ
…………、い、今…
ーーザワザワ
周りのざわめきが遠くで聞こえる
「おま!おま、お前何やって…!」
俺はたった今高須にキスされた所、つまり左頬をおさえて口をぱくぱくと開け閉めする。
『何?って、スキンシップ』
しれっと言ってのけるこいつに心底腹が立つ。
「…っ…!!」
俺は手を振り上げる。こいつに一発くらわせてやるために。
しかし、
『あれ?くるちゃん、そんなしていいの?成績、上がったの誰のおかげ?
』
これを言われてしまうと、俺は手を出せなくなってしまうのだ。