『おーいっ!』
うげ。でた。
登校中、後ろから聞こえた声に眉をひそめる。
『くーるーちゃん!』
「くるちゃん言うな」
跳ねたように明るい声と共に、俺の前を立ちふさがるように視界に現れたのは今俺が世界一苦手とする人物。
『やーん、超クール!』
「お前、女みたいにブリブリすんじゃねぇよ」
そう、このミーハーな女子のようなこいつは、れっきとした男である。
こいつがこんなテンションのせいか、一緒にいると物凄くつかれる。
「はぁ…」
すると勿論、ため息もこぼしたくなるもので。
なのにそれさえも、
『物悲しげな雰囲気もかぁわいーっ!』
余計に俺を苦しませる一つとなってしまう。
「お前頭大丈夫か?」
『心配してくれんのくるちゃん!ちょー感激っ。でもね、見てみんしゃいあれを』
そういってこいつが指差したのは、校門をくぐったすぐにある掲示板だった。
「あ…」
あれだけ人が集まってるってことは、期末テスト結果の張り出しがされているんだろう。
そしてそれの第一位に堂々と名を輝かせているのが、隣にいる馬鹿、高須清貴。
『ねっ?』
くそう、ムカツく。
さっきのは嫌味を言っただけで、こいつの頭脳がピカイチだということは知っている。
世の中不公平である。