どれくらいそうしていただろう。 霎介さんの「帰る」と言う一言によって私達は帰途についていた。 そして、先程からずっと、なんだか霎介さんの様子がおかしい。 ぶつぶつと何か呟いてみたり声をかけても返事が上の空だったり。 突然、 首をひねっていた私の足元を何かが通り過ぎる。 「きゃ……っ」 驚いて足を上げた拍子に、バランスを崩した私は大きく傾いだ。