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すぅ、




「失礼いたします。お茶をお持ちいたしました」


どうしようか迷ったけれど、結局私はその沈黙を機会にお茶が冷める前に書斎の襖を開けた。


「あらありがと」



さっきの玄関でのやり取りとはうって変わった愛想の良い甘ったるさが纏わり付く。

怜香さんの視線が私の表面をチクチクと這う気配を感じ、私は内心肝が冷える思いだった。








何故?









その疑問は私が書斎から出て薄暗い廊下を歩き出したと同時に沸いて出た。

私は確かに世間様の使用人の方とは違う扱いをうけているが決してやましいことなどしていない。




怜香さんの牽制の視線を受けて縮こまる理由などないはずじゃないか。

後ろめたい思いがしたのは、私の中にやましい想いがあったからではないのか?

















そこまで考えてみるが、いまいちピンと来ない。

女の恐ろしさの前に気圧され畏縮してしまっただけかもしれないと、すぐに思い直した。





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