玄関先には、いつもの作務衣を着た清太郎さんと、高そうな洋服を着た綺麗な女性が立っていた。
歳の程は私より少し上くらいか、
髪を結い上げ花飾りの着いた帽子を被り、気の強そうな西洋寄りの目鼻立ちをした美人だった。
清太郎さんがかしこまった様子で私に告げる。
「や、播田さん。
彼女は浅間が雇った使用人で播田 栞さん。
播田さん、浅間の婚約者の香月 怜香(コウヅキ レイカ)お嬢様だ」
私はすぐに盆を横に置いてその場に頭を付けた。
「播田と申します。
お見知り置きの程を」
こんなにも自分の声を他人のもののように感じる事が今までにあっただろうか。
「ふうん」
彼女は少し鼻にかかる甘ったるい声で言うと、それ以上は私に話しかけずに足音だけが霎介さんの書斎に向かって行った。
「いきなりすまなかったね、栞さん」
「いえ…」
いつもの調子に戻ったらしい清太郎さんの声に私は頭を上げ立ち上がる。
「でも栞さんが察してくれるのが早くて助かったよ。
あいつも幼なじみなんだが、高飛車でね」
「はぁ、そうなんですか?」
肩の力を抜いた清太郎さんの話をいい加減に聞きながら、私は呆然とお茶の支度を始めた。
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歳の程は私より少し上くらいか、
髪を結い上げ花飾りの着いた帽子を被り、気の強そうな西洋寄りの目鼻立ちをした美人だった。
清太郎さんがかしこまった様子で私に告げる。
「や、播田さん。
彼女は浅間が雇った使用人で播田 栞さん。
播田さん、浅間の婚約者の香月 怜香(コウヅキ レイカ)お嬢様だ」
私はすぐに盆を横に置いてその場に頭を付けた。
「播田と申します。
お見知り置きの程を」
こんなにも自分の声を他人のもののように感じる事が今までにあっただろうか。
「ふうん」
彼女は少し鼻にかかる甘ったるい声で言うと、それ以上は私に話しかけずに足音だけが霎介さんの書斎に向かって行った。
「いきなりすまなかったね、栞さん」
「いえ…」
いつもの調子に戻ったらしい清太郎さんの声に私は頭を上げ立ち上がる。
「でも栞さんが察してくれるのが早くて助かったよ。
あいつも幼なじみなんだが、高飛車でね」
「はぁ、そうなんですか?」
肩の力を抜いた清太郎さんの話をいい加減に聞きながら、私は呆然とお茶の支度を始めた。
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