「そ。」


私の体を引き寄せ軽くキスを落とす


そのままタバコに視線を移した竜ちゃんをみて


送ってくれないんだと判断し服装を整えると竜ちゃんの部屋を出た



9月に入ったとはいえまだ蒸し暑く生暖かい風をうけながら


ボーーっと歩く


この気持ちは何度目だろう


誰かに優しく触れられる度幼い頃のパパの記憶が


よみがえり泣きそうになる


「彩花」


突然肩に触れられビクッとする


ふりむけば竜ちゃんの顔


「なんで?」


素直に疑問をぶつけた


何事もめんどくさがる竜ちゃんは脱いだ服をもう一度着て


しかも家を出るなんてありえない



「んーなんでかな?今日は一段と彩花が寂しそうだったから」


意味が分からなかった


心を見透かされてる気がして恐怖さえ覚える