「いや、謝んなくていいけど・・・アイツになんかされたの?}


「大丈夫です・・・もう落ち着いた・・から」


最後の涙を拭いて顔をあげた彼女はとても可愛かった


いつもは凛としていて強そうだった女の子の涙に心がぐっと締め付けられた


「帰ります。すみませんでした」


「送るよ。家どっち?」


「一人で帰れます」


少し微笑んで立ち上がるとスカートについた汚れを払った


周りはもう真っ暗だし女の子を一人で帰すわけにいかない


それにこんなチャンスを逃すわけにはいかない・・・・


「送る。危ないしなんかあってからでは遅いでしょ?」


「じゃぁ」


少し考えてから小さく声を出した彼女


ここで断られたら終わりだと思ったけどとりあえず良かったと安堵した


真っ暗な道を二人で歩く


街灯のほのかな光が静かに二人を照らしていた


「私父親いなくて母と二人暮らしなんですけど・・」


突然彼女はポツリポツリ話し始めた


「母とは仲良くなくて…それで家に帰りたくないなって思ってた時に


あの人に話しかけられて・・そしたら勝手に涙が出てきて


本当迷惑かけてすみません」


笑うことなく頭を下げた


彼女の闇の原因


それは家庭環境なんだと理解した時悲しくなった