「うわ・・遅れるし・・」

桜が舞い散る道を歩く。
周りには誰もいない。

ハイ、あたし寝坊しました。
今日は大事な入学式なのに・・。


あたし、白石優子は今日から高校1年生です。
あたしの行く学校は桜川高校っていって、結構有名な学校です。
別に頭がいいとかいうことじゃないんだけどね。


そんなことを思いながら、下げていた目線を上に上げると、そこには年上らしき男の人が。
う・・男だ・・・。

あたしと同じ制服。
ヤダな・・。


あ、目が合った。

その人がこっちに来る。
や・・やめてぇ。


 「君一年だよね?もしかして君も寝坊?」

その人が笑いながら言う。

その笑いさえあたしは怖いの。
助けて・・。


 「は・・はい・・」

 「俺もだよ。・・・名前は?」


なんで名前聞くの!?
名前聞いたって意味ないでしょ・・。


 「・・・優子・・・・、白石・・・優子・・」

下を向いてあたしはつぶやいた。

 「優子ちゃんかぁ~。・・俺は夏川奏太。優子ちゃんの一つ年上。」

 「・・そ・・そうですか。じゃ、じゃああたしはこれで・・」


あたしは走って先に行った。
後ろは振り向かなかった。



--案外早く学校に着きました。
もうちょっとかかるかと思ったけど・・。


 「優子、おっはよ!」

下駄箱で話しかけてきたのは、友達。
峰岸茜。

こんなあたしにも優しくしてくれて、大好きなの。


 「おはよぉ」