一度言葉を切り、胸の上にあった手があたしの顎を捕らえる。


「だから、自分で報酬を作る事にした」


「報……酬……?」

 あたしは声を搾り出すように聞いた。


「そ、俺の報酬はお前。思った以上に感度良いみたいだから楽しめそうだ」


 あたしはその言葉を聞いて、怒りが芽生えた。


 楽しめそう……?

 何それ。

 オモチャ扱い?


 大体さっき言ったばっかりだよね?

「気にすんなって、言わなかったっけ? さっき」

 あたしは今度は別の意味で震えながら聞いた。

「ん? ……言ったな。でもそれは、『ちゃんと報酬は貰うから気にするな』って意味だよ」


 怒りのゲージが、上がっていく……。


「皆にあんたの本性バラされてもいいの? それに、そういうことならナイト辞めてもらうよ?」

 あたしの強気な質問に、黒斗はやっぱり笑うだけ。


「俺を嘗めるなよ? 一人が何か言ったぐらいで崩れるような立場は持ってない」

 黒斗の言う通りだった。

 事実、黒斗は誰からも信頼されている。
 あたしが何か言った所で誰も信じないだろう。