「どうしてって顔だな？」

　ダークな笑みを崩さないまま、黒斗は言う。


　あたしは怯みつつも、頑張って声を出す。

「あ、当たり前じゃない。……なんで、こんな……本当に黒斗なの？」


　黒斗に決まってる。
　ついさっきまではいつもの優しい黒斗だったんだから。

　でも聞かずにはいられない。

　だって、この変わり様はショックが大きい。



「当たり前だろ？　これが本当の俺。……でも驚くのも無理ないよな？　本当の自分見せたの、お前が始めてだから」

　黒斗はそう言って子供のように笑う。

　でもその雰囲気はダークなままで、あたしは怖くて震えていた。


「震えてんの？　可愛いな、友は。……なんでお前に本性見せたか教えてやろうか？」


　知りたくない。


　瞬時にそう思った。

　あたしにとっていいことじゃないってことくらいは考えなくても分かるから。


　だから何も言わず黙っていたけど、意味深に笑う黒斗がその理由を言わないわけが無い。

　あたしが何も答えないのをいいことに、黒斗はそのまま話し続けた。



「ナイトってさ、色々大変なわりに目立った報酬って無いんだよな……」