それだけじゃない。


親子三人で仲良く歩く家族の姿を、愛斗が寂しげな目で見ているのも知ってる。



私の事情を全て知ってるゆりあとカズくんは、今日のように愛斗のために遊んでくれるけれど

それでも愛斗の心の隙間は埋められない。


私がいくら愛情を注いでも、きっとどこか満たされない想いを抱えているに違いない。



私だけじゃサッカーやキャッチボールや、肩車だってしてあげることが出来ない。


だから愛斗には“父親”の存在が必要なんだ。


そう分かっているのに──



「だけどね、どうしても…
秋以外の人を好きになれる気がしないの」