適当に朝食を済ませ、適当にワックスで髪型をセットし、適当な服に着替えて少々急ぎめで部屋を出る。


仕事に行く時はいつもこんな感じだが、今日はあのコテコテスイーツ女のおかげで更に時間がない。



「早く行かなきゃあの集団に付きまとわれちまう…!」


そう呟きながら鍵を閉め、アパートの階段を軽やかに掛け降りた。



就職すると同時に中古で買った5年モノの小型車に乗って、俺は民家もまばらな坂道を上っていく。


夜は見下ろす街の明かりが綺麗に見渡せ、
冬は雪が降ったら上るのに苦労するような高台に立つ、緑色の屋根が目印のその建物。


それが俺の職場だ。