すると、ゆりあは私がそう言うのを見越していたようにフフフと意味深な笑みを浮かべる。



「その心配はいらないよ！全部カズくんのおごりだから♪
もちろんマナトくんも一緒に」



「引っ越し祝いだよ～」なんて言いながら、ゆりあはちょうどの小銭を出す。


カズくんは自動車の大手メーカーに勤めていて、羽振りがいいのは確かなんだけど…



「でも毎回ご馳走になってるじゃん？だから悪いよ、マナがいたらうるさいし…」


「いーのいーの、そんなこと気にしないで！
お昼頃迎えに行くから準備して待ってて。じゃねっ！」


「え！？あ、ちょっ、ゆりあ…！」



ゆりあは私の返事も聞かず、温めたお弁当を袋に入れるとすぐさまそれを持って踵を返した。