──しかし。
その桜が八分咲きになっても、俺の生活は特に変わらない。
いつものように施設に向かい、いつものように元気なあの子達のお世話をするだけ。
変わったことと言えば新しい支援員の子が入ったことくらいか。
「今日はショージがあのコの教育係だって?」
利用者さんが走り回っている中、食堂で昼食を食べようとすると、武田さんがそう言いながら向かい合わせに座った。
「あぁ一応。でもまだ最初だから利用者さんと遊んでもらってる感じですけどね」
俺は、利用者さんに囲まれて困ったように笑っている女の子を見ながら言った。