「明日は右のお隣りさんに挨拶しに行こうね」



夕飯のスパゲッティを食べながら愛斗に言った。

口の周りをミートソースで真っ赤にした愛斗がキョトンとする。



「おとなりさん?さっき行ったじゃん」


「さっきは左のお隣りさん。右のお隣りさんはまだ帰ってなかったから」



左隣りの人は、人の良さそうなサラリーマン風の中年男性。


今日はたまたま休みだったけれど、仕事柄普段は留守がちなのだと言っていた。


右隣りの人もいい人だといいんだけど…。



「今日はもう遅くなっちゃうから、また明日の朝行こう」


「はーい」



元気な返事をする愛斗の口の周りを拭いて、私はにこりと微笑んだ。