叶の腕に包まれながらまどろみ薄れゆく意識の中で、私は懐かしい秋の声を聞いた気がした。
『これでもう、俺も思い残すことはないよ』
『幸せになれ、夏芽』
──あぁ、もしかしたら秋は
私のことを心配して、いつも夢に出てきていたのかもしれない。
いつまでも秋との想い出に捕われて、抜け出せなくなっていた私が気掛かりで…
そう思った。
ごめんね、秋……
でも、もう大丈夫だよ。
私も愛斗も大切にしてくれる人、大切にしたいと思える人をやっと見付けたから。
月並みなことしか言えないけれど、秋の分まで絶対に幸せになるからね。
ありがとう。
ずっと大好きだよ、
私の大事なお兄ちゃん──。