夏芽さんはしっかりと頷いてくれた。

俺が大好きな、たんぽぽのような笑顔を浮かべて。



ゆっくり歩きながら、どちらからともなく指と指を絡ませる。

俺達が触れ合ったのは、思えばこれが初めてだ。



幸福な気持ちに包まれながら、手を繋いで歩いていると。



「──あ!飛行機!」



俺達のやり取りなんて知らないマナトくんが、夜空を見上げて指差した。

それにつられて夏芽さんも上を向く。



そのほんの一瞬のスキに

彼女の肩を抱き寄せて、軽く唇を重ねた──。




ゴメンな、マナトくん。


キミの大事なお母さん、
やっぱり俺も大好きなんだ。