「……どうして?」


「ぼくはショージがいい!
“お父さん”なんていらない!」



──それを聞いた瞬間、私は肝心なことを忘れていたことに気付いた。


一番大事なのは、私でもショージさんでもなく

愛斗の気持ちだったのに──…!



「お母さんだって…あの人といるときぜんぜん笑わないじゃん!
ショージといる時とぜんぜんちがうじゃんか!」



この子は…私のそんなところまで見ていたの?



「ぼくはお母さんが笑ってなきゃイヤだ!!」


「マナ……」



胸が、息が出来なくなるほどぎゅうっと苦しくなった。


愛斗にそんなふうに思わせてしまっていたなんて…

気付かなかった自分が本当に不甲斐なくて情けない。