考えれば考えるほど、迷路に迷い込んで出口を見失って…
もう、私にはその選択しかないと思うようになってしまっていた。
「…私が孝宏さんを選べば、全部丸く収まるのよ」
呪文のように、何度も自分に言い聞かせてきた言葉を思わず呟いていた。
顔を上げれなくて、ショージさんが今どんな表情をしてるかもわからない。けれど…
彼の手は拳を握り締めている。
「……相手の家族は?どうなってもいいっていうのか!?」
「違うの、彼は離婚してる。もう一人なのよ」
「っ……、だからって…!」
ショージさんは焦燥感を露わにしてグシャッと髪に手を潜らせた。