私の顔をまっすぐに見た水谷さんは、その大きな瞳に溢れそうなほどの涙を溜めて言った。



『もし…他の男性にも好意を持っているなら、叶のことは諦めてください。

あたしには叶しかいないんです…!叶をとらないで…』




こんなに必死に懇願するなんて、本当にショージさんを好きで仕方ないのね……

それを無下に断るなんて出来ない。


私は、どうしたら──…



私だってショージさんが好きだけれど、その気持ちだけではやっていけないことは十分わかってるし、こうやって悲しむ人もいる。


それにショージさんはまだ若い。

あの年で家庭に縛られるのはやっぱり可哀相じゃないだろうか。



──私が孝宏さんを選ぶのが、一番良い選択なの…?