もうすっかり闇に飲み込まれた街を、車を走らせて愛しい彼女のもとへ向かう。
その間、武田さんに言われたことをずっと考えていた。
正直、その時になってみないとわからないと言うのが本音だ。男なんだから特に。
自分の子供が産まれて、その時どう感じるかなんて、本当にその瞬間じゃなければわからないことじゃないか?
「つーか…まだ付き合ってるわけでもないんだし…」
独り言を呟いて嘲笑を漏らす。
悩むべき順番を間違えてることに今になって気付くなんて、俺はやっぱりバカだ。
まずは夏芽さんに想いを伝えることが先じゃないか。
それからでないと、一人で悩んでいたって仕方ない。