そんな俺の考えを見透かしているのかいないのか、武田さんはこう言い放つ。



「もう一度よーく考えてみろ。
…もう女を泣かせないようにな」



さっきから武田さんの言葉はグサリグサリと胸に突き刺さる。

きっとそのどれもが正しくて、けれど思いのほか声色が優しいせいだ。



武田さんは無言で亜優にタオルを持たせると、更衣室には入らず施設の方へと戻っていった。



武田さんがあんなに取り乱すなんて、あの人の亜優に対する愛情は、俺が思っていたものより遥かに大きくて深いモノだったんだな──。


きっと亜優も、今のであの人の気持ちに気付いたんじゃないだろうか。



俺はしばし無言でうなだれて、

亜優は武田さんのタオルを握り締めて、静かに涙を頬に伝わせていた。