「え、えぇ、そうですけど…」


「少しだけお時間いただけませんか?お話したいことがあるんです。
……叶のことで」



──ショージさんのこと?


彼の名前を出されたことで心がぐらりと揺れた。


押し黙った私を見て彼女は口元だけに笑みを浮かべた後、車の中から様子を伺う愛斗に視線を移す。



「…そこの公園でお話しませんか?」



彼女が指さしたのは、この間ショージさんと愛斗がサッカーをして遊んでいた公園。

私はその提案を了承する合図として、彼女に尋ねる。



「…あなたの名前は…?」



彼女はにこりと、どこか冷たさを感じる笑顔を浮かべて言った。



「水谷 亜優──叶の彼女です」