何も言えなくなって俯いていると、孝宏さんは私の肩にそっと触れた。

体が無意識にビクッと反応する。



「…俺は諦めないよ」



穏和な声だけれど強い想いを感じる言葉に、胸がドクンと音を立てる。



「もう二度と同じ過ちは繰り返さない。
夏芽も愛斗も悲しませるようなことはしないから…

俺達、ちゃんとした家族になろう?」





孝宏さんの言葉に嘘は感じられなかった。


でも、一瞬でも心が揺れてしまった自分に嫌気がさす。


私が好きなのは、

本気で愛してると想える人はショージさんしかいないのに──…


どうして、今ここで迷ってしまう自分がいるのだろう。