──結局、話はいまいち盛り上がらないまま食事を終えた。


それは孝宏さんも感じたようで、「ごちそうさまでした」とまた他人行儀に挨拶をして、さっさと車に乗り込む愛斗に苦笑する。



「やっぱりそんなすぐには慣れないよな。
でもいつか打ち解けてもらえるように、俺──」


「孝宏さん」



彼の言葉を遮って、私は重い口を開く。



「愛斗に会いたければまた会うくらいはいいけど…
私はあなたとやり直す気はないの」



──大切な人がいるから


そうはっきり伝えると、孝宏さんは目を伏せてため息を吐き出した。



「…運動会の時、一緒にいた人?」


「うん」


「ずいぶん若いようだけど、そんな男と一緒になって安心出来るのか?」