ズルイよ……

そんなふうに言われたら断れないじゃない。



『…名前、何て言うんだ?』


「…愛斗…」


『“マナト”か。
俺もそう呼んであげたいよ』



ズキン、と胸が痛む。


やっぱり、私達は事実上は血が繋がっているのだ。

彼に愛斗を会わせない権利は、私にはない。



とりあえず話を保留にして電話を切った後、私は愛斗に聞いてみた。



「ねぇマナ…お父さんに会えるとしたら、会いたい?」



突然そんなことを言われた愛斗は、キョトンとしたまま首をかしげる。

そしてしばらく考えた後、「…わかんない」と言って黙ってしまった。