その先の言葉を聞きたくなくて俯いていた私は、ある気配を感じて顔を上げた。


目線の先にいたのは、こちらを見ているショージさんと愛斗──…



私の様子に気付いて、孝宏さんは同じ方向を目で追う。

一瞬ショージさん達を見た後、不安そうな顔で「…旦那?」と私に尋ねた。



首を横に振ると、彼はそれ以上何も聞かずに、


「また今度話そう」


という一言と、6年前と変わらない穏やかな微笑みを残して去っていった。




その後ろ姿を見送りながら、大きく息を吐き出して心を落ち着かせる。


ショージさん…きっと不思議に思ってるだろうな。

説明しなくちゃ…。