「あ、そう…シングルマザーだったのか…。
で、お前本気なの?」



武田さんはそれまでの勢いを無くし、おかずの卵焼きをぽいっと口に放り込んで真面目な顔をして言う。


答える代わりに照れ隠しの癖で首に手を当てると、武田さんはそれで悟ったらしい。



「へぇ~、チャレンジャーだな!そんな難易度高い恋に挑むなんて」



何故か嬉しそうに肩を抱いてくる武田さんに軽く顔をしかめる俺。


まー確かに難易度は高いんだけど……



「しょーがないっすよ。好きになっちまったもんは…」



夏芽さんがシングルマザーだろうと、どんな過去を抱えていようと、

俺の気持ちは自分でも驚くほど揺らがないのだから。