「片親しかいない子が寂しい想いをするのは当然だよ。
それは夏芽さんがどれだけ頑張ってもどうにもならないことだと思う」



その言葉が私の胸に突き刺さる。

それでも、ショージさんの腕は変わらずに優しくて温かい。



「でも、だからってマナトくんが幸せじゃないってどうして思うんだよ?
勝手に決め付けたらそれこそ可哀相じゃないか」


「──っ…」



怒るでも、咎めるでもなく、私を優しく諭すような声がずしんと響く。


──ショージさんの言うことは正しい。



「夏芽さんといる時のマナトくんを見てれば、そんなのすぐわかる」



埋めていた胸から顔を上げると、彼の綺麗な漆黒の瞳がすぐ間近にある。